9.サビ付け・サビ落し

この章ではサビ付けについて説明します。 

下の写真はキシャギが終わった状態の竹です。

竹には、女竹と男竹が有ります。 断面の丸い女竹に対して、男竹は枝のついていた側が節から節まで凹んでおり、断面がD型になっています。 このまま糸を巻くと良い型にならないので、この部分(俗に花道)にパテを入れて、全体を丸い形に成形します。 これをサビ付け・サビ落しと言います。

以前は、漆と砥の粉を練った物をこの部分に塗たり、竹の割いたものを張り付けたりして肉盛していましたが、今はもっぱら車のキズをなおすときに使用する、厚肉盛用のポリパテを使用しています。

下の写真はサビ付けが終わった物です。

パテを花道に盛り付けていますが、節の際部分にマスキングテープが巻いて有るのが判りますか? これはパテが余分な所に着かないようにすることと、この後のサビ落しでヤスリを掛ける時に、竹に傷をつけることを防ぐための養生です。

 

パテが完全に乾くのを待ってからヤスリで削っていきます。

 

簡単に削ることが出来ますが、削り過ぎないよう型を整えながら少しづづ削って、断面左右が対象になるように綺麗に整形してください。

下の写真はソリッドの穂先を接続した部分の物です。

鯨の穂先は、「8.穂先の削り出し」の所で写真掲載していますので、グラスとの違いを比べてみて下さい。 グラス穂先では、竹の方を削ってグラスの径に合わせていますが、鯨の穂先の時は鯨の外を削って、鯨の方を竹の外径に合わせています。 竹とグラスでは、外径が同じなら通常グラスの方が強いので、強さを合わせていくために竹の外径はグラスより太い物を使用し継いでいきます。

以上でサビ付け・サビ落しの完了です。

サビ落しの後に荒いヤスリで糸を巻く部分の表面を荒らしておきます。 成形後#80とか#100程度の荒いヤスリを軽く握って竹を回転させて表面にヤスリ目を付け手下さい。 次の糸巻きで糸の食付きをよくするのが目的です。 「7.スゲ込の加工」でも述べていますので参照ください。